Nasic Release ナジックリリース | 教育界における注目テーマごとに、各界の有識者の方々のご意見・ご提言を掲載した提言誌

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ナジックリリース第25号<BR>(2014年9月1日発行)

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国際化・グローバル戦略

創設時から脈々と続く「門戸開放」の精神で「世界のリーディング・ユニバーシティ」の実現を目指す (東北大学 総長 井上明久)


東北大学総長 井上明久

井上総長就任時に策定されたアクションプランに基づいて独自の国際化を進めてきた東北大学は、国際化戦略の根幹として「グローバル30」を位置づけている。
これまでの同大学の国際交流や留学生の受け入れの実績、さらには独自の国際ネットワークを生かしながら、東北大学ならではの国際化を実現し、世界のリーディング・ユニバーシティを目指している。


 

世界リーディング・ユニバーシティを目指す東北大学の国際化

――文部科学省から「グローバル30」拠点としての採択が発表された際、どのように受け止められたのでしょうか?

井上総長( 以下、敬称略)  私が2006年11月に総長に就任した直後、東北大学がこれまで築き上げてきた伝統と実績をもって人類社会へ貢献するというビジョンを明確にし、その実現のためのプランの策定を開始しました。

翌年三月に「井上プラン2007」としてこれを発表しました。このプランでは「世界リーディング・ユニバーシティに向けて」という目標を掲げ、その重要な柱の一つとしてグローバル化を組み入れ、様々な取り組みを行ってきたところです。このような中、今回「グローバル30」拠点に採択されました。

文部科学省「グローバル30」事業においては、質の高い教育の提供と、海外の学生が我が国に留学しやすい環境を提供することとし、英語による授業等の実施体制の構築や、留学生受け入れに関する体制の整備、戦略的な国際連携の推進等を通じて、留学生と切磋琢磨する環境の中で国際的に活躍できる高度な人物を養成することが目的とされており、本学のアクションプランである「井上プラン2007」実現を図るために、必要不可欠な事業であると判断しました。

幸いにも、これまでの東北大学の実績が評価され、拠点に採択されましたので、本学のグローバル30事業である“Future Global Leadership”を私のリーダーシップのもと、大学として全力を挙げて取り組むつもりです。

井上プラン実現のための中核事業として「グローバル30」を位置付ける

――東北大学の国際化の取り組みを理解するために「井上プラン」とはどのようなものか、また、どのような経緯で策定されたものなのかについて、より具体的にお聞きしたいと思います。

井上 国立大学法人制度のもとで大学を今後どのように運営していくべきか、その基本方針を立てる必要があったことがプランを策定する一つのきっかけでした。法人への移行は吉本前総長時代に行われたわけですが、私の総長就任に際して、東北大学を支える全構成員、教員、職員、学生、同窓生、そして地域社会に対し、大学の将来像を明確に示し、その実現に向かって一体となって進んでいく大学改革を最大の目標として位置付けました。

また2007年に創立100周年を迎え、次の100年に向けた新たな飛躍の方向性を定める、大学にとって重要な歴史的な機会であったこともプラン策定の契機でした。

東北大学を取り巻く環境の変化が加速するなか、世界最先端研究成果の創出に裏打ちされたグローバルな視点をもって、地球規模で活躍する指導的人材を輩出することこそが、国際社会から知の拠点としての貢献を付託されている我々の使命であると考え、世界を先導していく大学へと進化していく決意を表明いたしました。

長年の国際交流の実績を基盤に強みを生かしたユニークな国際化を

――「グローバル30」では、これまでの蓄積や強みを生かしたユニークな国際化の取り組みが求められています。東北大学ならではの強みをどのように生かしていこうとお考えでしょうか。

井上 東北大学はもともと世界と地域に開かれた大学として発展してきました。本学は、大正時代に日本で初めて女性を学生として受け入れ、また外国人留学生の博士第一号も本学より輩出しております。

そうした門戸開放の精神は現在も息づいています。その精神を引き継いで、世界に開かれた大学として発展させていきたいと考えています。研究大学としての国際的プレゼンスを向上し、世界中の学生から東北大学で学びたいと言われるような魅力ある大学にすることが重要であると考えます。

国際化を進めていくための強みと考えているのは、第一にはグローバルネットワークの構築を固めるために、大学間交流協定の締結、AEARU(The Association of East Asian Research Universities;東アジア研究型大学協会)、 APRU(Association of Pacific Rim Universities;環太平洋大学協会)、 T.I.M.E.(Top Industrial Managers for Europe)といった、国際水準の大学等が参加する国際コンソーシアムに本学も加盟して積極的に参画し、海外拠点の活用等を図ってきていることです。本学が有するこれらの豊富で強固なグローバルネットワークを大いに活用し、教育・研究活動を展開し、留学生等の受け入れ推進、さらには、大学全体の国際化の推進に取り組んで行きたいと考えております。

第二に12のグローバルCOE、世界トップレベルの研究拠点(WPI)を持つ研究大学として認知され、大学院を中心に留学生受け入れに長年の実績があるということです。

現在、在籍している外国人留学生数は約1350名で、日本のトップ10に入ると聞いています。また、外国で研鑽を積んだ教員が多数在籍しており、外国人教員の比率も国立大学中でトップ3の水準にあります。私が所属していた金属材料研究所の助手の外国人比率は、30〜40パーセントに達しています。

さらに、27カ国の140の大学と協定を結んでいるということも、国際化を推進する上での強みの一つであると考えています。

これらは世界水準の研究成果を多数発信してきたからこそ成し遂げた成果だと考えており、今後は、こうした取り組みを学部を含めた全学レベルでさらに推進し、留学生や研究者の受け入れ推進に繋げたいと考えています。

国際教育院を中心に留学生が学びやすい環境を整備

――「グローバル30」では、外国人学生や教職員をどれぐらい増やすか、その数値目標を求めています。東北大学の目標と具体的な施策はどのようなものでしょうか。

井上 「グローバル30」では2022年度を目標年度としていますが、東北大学では10年後に、外国人留学生数と外国人教員数を現在の約3倍にするという目標を立てました。そのための学内の環境整備や海外での広報活動などに力を注いでいくことが、重要と考えています。

まず学内の環境整備面では英語による授業で学位を取ることができるコースを、工学部、理学部、農学部の3学部で新設し、大学院においては、既設3コースに新設9コースを加え、少なくとも12コースを開設する計画です。

そのための全学組織として、国際教育院を新設し、東北大学にふさわしい教育を企画・運営・実施することにしました。また、留学前から卒業後のキャリア支援までの留学生のためのワンストップのサービス体制も整えていこうとしています。

広報活動としては140ある海外の提携大学のうち主要な大学で「東北大学ディ」を実施し、東北大学の研究教育環境をアピールしながら、留学生や研究者の受け入れ拡大、国際交流推進等につなげていきたいと考えています。

2009年12月には中国の上海交通大学において、この催しを実施しました。今後、海外の協定校等と連携し、同様の事業を展開していきます。

さらに、正規の留学生だけでなく、これまで毎年実施してきたサマースクールの受講生および、提携大学間で単位互換協定などを拡充することで短期留学生の増員を図るなど、多様な留学形態に対応できる体制を整えるほか、奨学金や宿舎も充実していく方針です。

この他、東北大学ならではのユニークな取り組みとしては、ロシアとの国際交流推進があげられます。これまでのロシアの科学アカデミーや大学との交流実績を基盤として、ロシア交流推進室を新設して、取り組みを強化することとしました。

現在本組織において「グローバル30」において指定された、ロシアにおける「海外大学共同利用事務所」の整備について、鋭意検討を進めています。

一方、日本人学生に対しては、国際的に活躍しうる人材育成施策として「スタディ・アブロード」や「海外インターンシップ」、海外派遣プログラムを新設するほか、英語のカリキュラムを増強することもすでに開始しております。

特性や立地を生かしたユニークな国際化を目指す

――東北大学らしい国際化を進めていくとは、どのようなことであるとお考えでしょうか。

井上 東北大学はご存じのとおり「杜の都」仙台市に立地し、美しい自然に恵まれ、安全と利便性を兼ね備えた環境を提供できます。勉学と研究に最適な環境の中で、世界中から意欲を持った人々が集い、最高峰の知の創造に挑戦します。

東北大学ならではの伝統や実績、社会的役割を基盤とした国際化を推進するにあたっては、他大学も含めた地域、行政、経済界等と一体となって協力し、着実に活動を積み重ねて参ります。世界リーディング・ユニバーシティを目指す我々にとって、その実現への大きな一歩を踏み出したことをうれしく思うとともに、これまで以上に果敢な挑戦をしていく所存です。

井上明久 Akihisa Inoue

1975年東北大学大学院工学研究科金属材料工学専攻博士課程修了。工学博士。76年東北大学金属材料研究所助手、85年同助教授、90年同教授。2000年金属材料研究所長、02年総長補佐、05年副学長などを経て、06年11月から東北大学総長に就任。このほか06年12月から日本学士院会員、07年6月から国立大学協会副会長、08年2月から米国ナショナルアカデミー(工学)外国人会員など。専門分野は金属材料学・非平衡物質工学。

大学改革提言誌「Nasic Release」第20号
記事の内容は第20号(2010年2月1日発行)を抜粋したも

 

ナジックリリース第20号・記事一覧

対談 大学国際化の現状と展望 (財団法人日本総合研究所会長 多摩大学学長 学生情報センターグループ特別顧問 寺島実郎  文部科学省高等教育局長 徳永 保)


創設時から脈々と続く「門戸開放」の精神で「世界のリーディング・ユニバーシティ」の実現を目指す (東北大学 総長 井上明久)


世界各国の有能な人材が集うことが「世界を担う知の拠点」である東京大学の使命 (東京大学理事・副学長 田中明彦)


「人間教育」と「環境」を掲げ上智らしさで「世界に並び立つ大学」を目指す (上智大学 学長 石澤良昭)


明治ならではの国際化戦略で21世紀を生き抜く強い明治に変革する (明治大学 学長 納谷廣美)


長期的戦略とAPUで培った実績を基盤とした立命館ならではの国際化戦略を推進する (立命館大学 学長 川口清史)


鼎談  地域における留学生受け入れの課題〜大学間連携と地域社会を巻き込んでの「国際化」を考える〜 (龍谷大学副学長 西垣泰幸氏  同志社大学副学長 黒木保博氏  京都大学理事・副学長 西村周三氏)


国際交流のプロ人材組織として幅広いネットワークを駆使し留学生30万人計画のハブとなる (特定非営利活動法人 国際教育交流協議会(JAFSA)常務理事早稲田大学 留学センター 調査役 高橋史郎)


レポート nasicのロゴが都大路を駆け抜けた「全国高等学校駅伝競走大会」レポート