Nasic Release ナジックリリース | 教育界における注目テーマごとに、各界の有識者の方々のご意見・ご提言を掲載した提言誌

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ナジックリリース第25号<BR>(2014年9月1日発行)

特集:「キャンパス進化論」

 

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就業力育成・キャリア教育

学生と中小企業とのマッチングの在り方 (厚生労働省派遣・有期労働対策部長 宮川晃)

二〇一三年一月に厚生労働省および文部科学省が発表した二〇一二年度大卒者の就職内定状況によれば、前年同期比でやや改善傾向ではあるが、リーマンショック以前の水準まで回復しておらず依然厳しい状況にある。深刻化する若者の雇用状況を改善するため、雇用のミスマッチ解消やキャリア教育のサポート体制の充実は急務である。二〇一三年度から本格的に実施される若者の雇用対策について、厚生労働省派遣・有期労働対策部長の宮川晃氏にお話を伺った。



文部科学省や大学と連携し、学生の就職を支援

――政府の「若者雇用戦略」の策定から運用まで深くかかわっておられる厚生労働省として、今回の施策のポイントをお聞かせください。

宮川部長(以下、敬称略) 国内の事業環境を魅力あるものに整えつつ、産業構造の変化や新たな国際分業に対応した人材の育成を推進しなければなりません。その中で、政府として進めるべき政策の基本的な考えは「機会均等・キャリア教育の充実」「雇用のミスマッチ解消」「キャリアアップ支援」の三つが大きな柱となっています。 例えば、大学の初年次から体系的・系統的なキャリア教育などを実施するとともに、「インターンシップ推進に当たっての基本的な考え方」の見直しや中小企業に対するインターンシップのノウハウの提供などインターンシップの推進が盛り込まれています。 雇用のミスマッチ解消を図るために、厚生労働省では二〇一〇年秋から文部科学省と連携した施策に取り組んでいます。その一つが学校とハローワークのマッチング機能の連結です。具体的には、大学などにジョブサポーターが出張、相談に応じる仕組みを整えています。 既に全国の大学について、ジョブサポーターの担当制を敷く取り組みが始まっています。二〇一一年度末段階で六三二の大学との連携実績がありますが、目標としてはすべての大学について担当するジョブサポーターを配置することです。 ジョブサポーターは、四年次の一〇月から卒業予定である翌年の三月までは新卒者の内定率を高めるための活動をします。そして、四月以降は既卒者の就職率を高めるための活動に取り組むのです。これにより、大学は一〇月までは四年次の就職支援を行い、一一月以降は三年次の学生の就職支援に注力することができます。学生の就職活動時期や状況に応じて、大学とジョブサポーターが役割分担をして就職を支援することが可能になるのです。むしろこのような役割分担をすることで、大学も安心して、学生の就職支援に力を入れることができると思っています。


―― 実際に、大学とジョブサポーターが連携したことで就職率は高まっていますか。

宮川 「新卒を応援するハローワークを知ったきっかけはどこか」というアンケートをしたところ、「学校」と回答した学生は五七・一%に上りました。徐々に認知度は高まっていると見ています。 就職内定率は、統計を開始した一九九六年度以降では、二〇一一年三月の卒業予定者(二〇一〇年度)が最も低く、二〇一一年度も一〇月段階で二〇一〇年度に続く低い数字となりました。この段階でジョブサポーターの取り組みを強化したのですが、その結果、内定率は上がり、翌二〇一二年四月段階では、上から六番目の水準にまで上がりました。 ジョブサポーターでは、一〇月以降の就職決定件数を上げるため、情報提供だけではなく、大企業志向の学生に中小企業や中堅企業で適したところを具体的に提示するよう取り組んでいます。また、模擬面接を通じて本人が気づかない欠点などについてもアドバイスしています。なかなか内定をもらえない学生のケアにも取り組んでおり、精神的なサポートも行っています。私どもは、こうした点からもジョブサポーターの効果は確実に出ていると感じています。中小企業の雇用促進へ「若者応援企業」宣言


――マッチングという点で考えた場合、まだまだ学生の大企業志向は強いのでしょうか。

宮川 学生と中小企業とのマッチングは大きなテーマです。要因として、学生には依然として大企業志向、有名企業志向があります。大企業は情報発信力が高いので、学生への影響力も大きいのです。一方、中小企業は大企業に比べて情報量が少なく、学生も個別の企業情報を得にくい傾向にあります。 大学の取り組みもあって徐々に大企業志向は緩和されていますが、情報量に関してはまだ多くの問題を抱えているのが実情で、中小企業の情報を適切に学生へ届けることが重要であり、そのための具体策にも取り組んでいます。 最近、企業の規模別・業種別の離職率を公表いたしました。一般的に「七・五・三」と言われていますが、就職して三年経つと中卒の七割、高卒の五割、大卒の三割が転職または退職してしまいます。しかし、この比率は規模や業種で随分と差があるのではないかと考えたのです。実際に調査すると、企業規模や業種によってバラツキがあることが判明しました。やはり、大企業のほうが離職率は低く、中小企業は高い。また製造業、金融の離職率は低く、サービス、商業関係は高いことが数字で明らかになりました。 こうした規模別・業種別の平均と比較することで、もし自分の会社の離職率が平均を下回っているのであれば、それはアピールポイントとなります。また、離職を防ぐためのメルクマールにもなるのです。企業は平均を下回るように努力することで、学生に目を向けてもらうきっかけをつかめるはずです。学生も企業の姿勢を判断基準の一つにして就職を考えることができるようになるのではないでしょうか。


――具体的に、企業はどのように情報を発信していくのでしょうか。

宮川 自立した社会人として、大学生の就職はあくまで学生個人が大学の力も借りつつ自力で行うものと長年考えられてきました。しかし、社会的情勢は大きく変わっています。進学率が大きく上がってきた現在、学生の雇用問題について、社会全体で応援していく必要があります。 二〇一三年度の取り組みで一番の目玉に、中小企業と学生のマッチングを促進する「若者応援企業」があります。これはハローワークを通して、若者の採用や育成に積極的に取り組む企業を募集し、一定基準をクリアした企業には「若者応援企業」という形で宣言してもらうものです。少なくとも若者応援企業になるためには、離職率を含めて情報は開示していただくことになります。 宣言した企業の情報は、学生や、卒業後も未就労の方に提供していきます。「若者応援企業」を宣言した企業を集めた就職面接会も検討しています。情報開示に取り組む企業が増えると、学生の選択の幅も広がります。各地域で推進されている取り組みとも連携して、情報の提供とジョブサポーターのような仕組みづくりを進めつつ、若者のフリーター化を早い段階で防ぎ、その人たちのキャリア形成を支援していくことは非常に重要なのです。 また、現在、卒業後三年以内の方を新卒扱いにすることを標準化するべく、尽力しています。キャリア形成もできないまま早期に離職すると、中途採用の対象になれず、新卒扱いもされず、次の仕事を選べないままにフリーター化、ニート化するリスクが高まります。この問題を防ぐには社会に出る最初の段階が重要です。そのために、新卒扱いの標準化を推進しているのです。



長年の慣習にとらわれない多様な就職の在り方とは

 
――「新卒扱い」の効果は表れているのでしょうか。

宮川 二〇一〇年一一月、雇用対策法に基づき、青少年雇用機会確保指針が出されました。その中で取り組むべき措置として、卒業後少なくとも三年間は新卒扱いとして応募できると記されています。統計的に見ると、新卒採用を行った企業のうち、既卒者の応募を認めている企業の比率は、二〇〇九年度は五三%でしたが、二〇一一年度には六五%に上がっています。実際、既卒者を採用した企業も三二%から三五%と三ポイント上がっています。 今後は四月に新卒者を一括採用することの是非について、慎重に議論をしていく必要があります。大企業は効率的な一括採用でメリットを享受しているものの、中小企業は四月一日入社にこだわってはいないと思われますから、各々の良いところを取ることも考えていかなければなりません。 少なくとも、就職するチャンスは一回限りという仕組みに限界があるということではないでしょうか。そのチャンスを逃したらキャリアアップを図ることが難しく、その結果、若い労働力が損なわれて、社会全体の成長を妨げるとしたら、大きな損失です。 そうした事態を回避するためにも、卒業後三年程度であれば新卒者と同様の機会を与えるべきです。早期離職者だけでなく、例えば卒業後に留学した人や、ボラティア、NPO活動などを経て社会に出る人も対象になりますから、多様な人材を受け入れることができます。企業側にとって、新卒者を一括採用するメリットはありますが、随時採用も進めば両方のメリットが生かせるはずです。学生には自分なりの夢と考えを持った上で働くことを考えてほしいですね。そうした学生たちに雇用の機会をできる限り提供し、社会に踏み出すきっかけをつくりたいと考えています。

 

 

ナジックリリース第24号・記事一覧

「成長のための成長」から「豊かさを実感できる成長」へ (経済産業省 経済産業政策局長 石黒憲彦)


学生と中小企業とのマッチングの在り方 (厚生労働省派遣・有期労働対策部長 宮川晃)


二十二世紀にも輝き続ける、世界屈指の大学づくりと人材育成 (大阪大学 総長 平野俊夫)


「違いを共に生きる」を理念に掲げ、時代や社会に対応できる多様な人材を輩出 (愛知淑徳大学 理事長・学園長 小林素文)


キャンパス再構築で学びの機会を増やし、世界に貢献できる人材を育てる (青山学院大学 学長 仙波憲一)


「オール近大」の力を結集し、実学に基づく創造性豊かな人格を形成 (近畿大学 学長 塩崎均)


強い「個」を育成し、世界に発信 二〇二〇年に向けた人材育成 (明治大学 学長 福宮賢一)


イベントレポート 「ワークプレイスメント2012」 (ワークプレイスメント2012実行委員会)


レポート 「甦れ!日本 高校生アスリート作文コンテスト」